

Contents
基礎を知らない政治家さん
これは、2012年の自民党総裁選のときに話題になった話し。
トリレンマは、まぁ言ってみりゃ国際金融の基礎中の基礎みたいな話しなんだが、総裁候補連中の理解度を試す絶好の機会となった。
結論から言うと、、、
バカ丸出しをしてしまったヤツがいたわけだ!!
このブログでは特定の人物名を出すのは避けるが、、、
次の日に知人に会ったときに、
あいつアホだねぇ!
から会話が始まったのは今でも鮮明に覚えている。
国際金融のトリレンマとは、、、
1、独立した金融政策(お金刷ったり減らしたり)
2、自由な資本移動(好きなとこで好きなように商売をしてもいい)
3、固定相場制
これら3つのうち2つしかできません。2つのうち1つだとジレンマ。トリプルだからトリレンマ。
今回はトリレンマと為替価格の決まり方で説明できます。
先進国(日本も)は1、独立した金融政策と2、自由な資本移動を採用しています。
中国は1、独立した金融政策と3、固定相場制。好き勝手に商売できません。それなりに計画経済で、規制をしています。
経済発展を加速させたいなら、2、自由な資本移動をさせないと、中々進みません。発展途上の時はいいですが、ある程度育ってしまうと資本移動の制限は邪魔になります。
中国はジリジリ3、固定相場制をやめつつ、2、自由な資本移動に移行させています。
先進国の場合
先進国ではこの二つ
①独立した金融政策
②自由な資本移動
日本はこれ。どこでも何してもいい。通貨価格も毎日変動する。
途上国の場合
中国や、かつての日本がこれ。日本は1ドル360円で固定だった。
固定にすると、お金の量を好きにできない。好きに物価、通貨価格を変動できない。
①独立した金融政策
③固定相場制
一般的に、今の国際経済では自由な資本移動が欠かせないので、固定為替相場、金融政策の自由度は二者択一ということになる。
固定相場制を維持するために介入すると、自由な資本移動がとれないというわけだ。
自国の通貨価格を安く抑えておけるので、輸出はしやすい。中国は輸出しやすい。いずれ固定相場制をやめざるをえないので、輸出しにくくなる。
固定相場制を維持できない理由は、固定相場制のときは物価がどんどん上がってしまう。お金の量を増やし過ぎなきゃ固定相場は維持できんのだ。
経済過熱とインフレ気味になるので、変動相場制にしてデフレに持ち込む。そうなると固定相場制ではなくなる。物価は下がる。国民の生活は安定してくる。経済成長はイマイチになる(固定相場制の時より通貨高になって輸出で経済が回しにくくなるから)。
スイスの場合(レアケース)
先進国で固定相場制を導入したケース。
②自由な資本移動
③固定相場制
2011年の9月に実施。ユーロとスイスフランの為替レートを1.2以上にはしないという政策だった。
2013年9月の今でもやめていない。ユーロ危機で安全なスイスフランにお金が逃げてスイスフラン高になっていたので、それを嫌がったスイスはスイスフラン安への政策を実施。
おかげでこの後、安全なところは金と日本円だけになった。円高でとどまる原因の一つになってしまった。
スイスは固定相場制にするちょっと前までデフレ気味だったので、多少のインフレは目をつむって変動相場制を固定相場制に変えた。
この変更は2年ほど遅れて影響が出るので、そろそろスイスはインフレになる。
スイスは危機から一抜けした
ちなみに、高橋洋一氏もこれに指摘している
今日の講義で為替介入と金融政策は裏表の関係で中銀が外貨債をマネーが出てインフレになると説明したら、スイスで昨年9月に無制限介入した後デフレだといういい質問があった。これは効果ラグ。昨年9月時に9ヶ月から1年のラグは折り込み済み。予想以上の落ち込みだが、まあ想定内だろう
— 高橋洋一(嘉悦大) (@YoichiTakahashi) 2012年5月23日
中国はいずれ、先進国と同じ政策になる。それをじっくり動かしている。
中国は、かつての日本と同じように固定相場制から自由な資本移動に移りつつある。
だから、中国の経済の成長率はかつてほど上がらない。その代わり、国民は成長に追い付きやすくなる。ただいずれは、中国の景気は悪くなってくる。
今まで輸出産業で稼いできた経済システムが機能しなくなってくるから。日本と同じようになる。
これを踏まえて中国の話です。
中国はドルに対して固定相場制を採用しています。この交換比率をある程度の範囲内に収めています。
実際の中国元よりも安く抑えてモノを海外に売っているので儲かっていると。
かつての360円固定レートの日本と同じです。技術もそれまで先進国が培ってきたものを使うので、研究開発せず安くそれなりのものをガンガン作って売って儲けるという形です。
中国は徐々に自由化している
もうちょい深く。
中国は為替を固定相場制にしています。アメリカドルの値動きに合わせて為替を固定しています。
日本もかつては固定相場制でした。一ドル360円で固定してたというやつ。
今の日本は変動相場制なので、好き勝手に価格が変わります。
中国の固定相場なので、為替が本来の価値より割安です。本当はもっと中国元は高くていいものを、無理やり安くして、輸出する製品を安くしています。
だから儲かる。中国製品が安く見えるから。儲けたお金は不動産などに投資する。
しかし、中国は徐々に固定相場制をやめています。変動相場制にすると、中国は今よりずっと通貨高になりますから、以前より輸出での稼ぎは悪くなります。中国製品が高くなるので。
稼ぎが悪くなると投資するだけのお金が無いので、経済成長のスピードは遅くなります。
じっくり遅くするのはいいんですけど。一気に落とすのはみんなご存知バブル崩壊になります。
中国は現状、物価は基本スルー
実は金融政策と為替政策というのは言葉は似ていますが、意味は違います。
金融政策は自国の物価の安定と雇用の確保の為に行っています。
日本銀行は金融政策決定会合というのを行っていて、物価と雇用に関して仕事しています。
お金の量をこのくらいにして、物価を操作するということをやっています。
このとき、物価は見ていますが為替価格がどうなろうと基本的にスルーです。
中国は為替政策で、為替価格を見ていて、物価は基本スルーです。
とはいえ、いつまでも物価をスルーしきれないので、徐々に固定相場から自由な資本移動にトリレンマを移して、変動相場制にしようという動きです。

コメントを残す